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三重県・志摩の古社を歩くー伊射波神社と伊雑宮、海と磐座

更新日:6月25日


志摩半島をめぐってきました。訪れたのは、伊射波神社と伊雑宮。

伊勢神宮の外延に広がる古層の信仰、その輪郭に少しだけ触れた気がしました。


伊射波神社について


三重県鳥羽市安楽島町。

海沿いの急坂を登った先、断崖の上に伊射波神社は鎮座しています。


ご祭神は稚日女尊(わかひるめのみこと)

天照大神の妹神あるいは分霊とされ、織物・産業・芸術の守護神です。加えて、伊佐波登美尊・玉柱屋姫命など、古い神々の名も残ります。


創建年代は不詳。『延喜式神名帳』に式内社として記載されるほど古い社で、志摩国一宮とされた時期もあったと伝えられています。けれど、制度化された歴史以前の、もっと素朴な祈りの気配がこの場所には漂っています。


社殿の周囲には磐座が点在していました。石に添うように神殿が建てられている様子は、社殿以前の磐座信仰の名残を思わせます。


けっこうきつい坂を上っていった先にあります。


海に面した鳥居が美しい。かつては船で海から参拝していたとも言われ、海と神を結ぶ信仰の姿が浮かび上がります。磯の波音の向こうに、太古の祈りが重なって聞こえるようでした。


神殿の周囲に磐座が見られました。個人的には神殿よりも磐座のほうが気になって仕方なかった。何を祀ってるんだろう?いつから祀られてるんだろう??


伊雑宮──内宮と地元の境界にある別宮

志摩市磯部町にある伊雑宮(いざわのみや)

伊勢神宮・内宮の別宮のひとつであり、天照大神の「御魂(みたま)」を祀ります。神の荒々しい側面を象徴する荒魂信仰とも重なる性格を持っています。


伝承によれば、倭姫命が神宮創祀の旅の途中、この地にも立ち寄ったとされます。

すでに平安時代には神宮の別宮と定められ、『延喜式』にも記載されていますが、それ以前の土地神信仰が重なりあっていると感じさせます。


遷宮が行われるため社殿は伊勢神宮と似た様式ですが、森の奥へ続く立ち入り禁止区域のその先には、かつての祈りの場が今も眠っているのかもしれません。


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木が太くて力強い。森林は途中から立ち入り禁止になっていますが、その先に何かありそうでめっちゃ気になる。


どちらの神社も人里離れたところにあるけど、エネルギーのみなぎる場所でした。



伊勢神宮の中に位置づけられてはいるけれど、この二つの神社には、もっと昔の祈りの形が静かに残っているように感じました。


海から神を迎えたり、岩や木に手を合わせたり──そんな素朴な感覚が、今も息づいている場所でした。

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