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伊勢神宮 磐座を祀る山口祭と、秘儀・木本祭

更新日:2 日前

伊勢神宮で遷宮の準備が始まりました。


遷宮最初の儀式である「山口祭(やまぐちさい)」と「木本祭(このもとさい)」は、どちらも自然と神の関係性が深く現れる古儀の祭祀で、現在ではほとんど一般には公開されておらず、神職の間で静かに伝承されている神事です。


◆ 山口祭(やまぐちさい)

● 概要

伊勢神宮・内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)で行われる特殊神事。

年間20回以上にのぼる神宮の祭典の中でも、古い形を色濃く残す秘儀的な祭りです。

山の入り口(山口)において斎行される祭祀で、古代の山神信仰(磐座信仰)や自然崇拝の名残を強くとどめています。


● 趣旨と意味

「山口」とは、神宮の聖域である山(御山)に入る口を意味します。

山に宿る神に山の境界で捧げものをし、神威を敬うという性格の祭祀。遷宮に使われる材木は、今では山口祭の行われる山から採取されていませんが、山口祭はそのまま残っています。


● 特徴

古代の山岳信仰、あるいは伊勢神宮が社殿を持たなかった時代(磐座祭祀)の痕跡を色濃く残す。


物忌とよばれる子供が内宮・外宮それぞれ儀式に参加します。

(豪雨の中、朝の8時から見に行ってきました)


◆ 木本祭(このもとさい)

● 概要

「木の元=木の根元」で行う祭りで、神宮における極めて秘儀的・象徴的な神事。

祭祀の詳細は一切公にされておらず、神職以外にはほとんど知られていません。

「心御柱(しんのみはしら)」という神宮の秘儀や象徴と密接に関連していると考えられています。


● 趣旨と意味

「木の元」は、神霊が宿るとされる自然物(ご神木)を象徴する場所であり、神が降臨する依り代としての木の信仰に由来。

神宮の神殿中心部に位置する「心御柱」は、この木本祭の観念から来ているとも。


<考察>

木本祭はほとんど情報がなく、一般公開もされていません。

いつの時代から、どんな目的で行われたのか気になるところです。


遷宮が始まった持統天皇4年(690年)のころから開催されていたのであれば、大和政権のもたらした文化ということになるでしょう。


伊勢神宮が皇祖神とされたのは天武天皇(在位673–686年)の時代なので、それ以前からあった祭祀だとすれば、縄文~弥生初期の信仰形式をひもとくヒントになりそうです。


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