瀬織津姫特集②瀬織津姫に関係する水の神様の相関図
- ayamis2901
- 2月8日
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更新日:3月24日

瀬織津姫(せおりつひめ)は、日本の神話や信仰に登場する女神で、水や禊(みそぎ)に関わる存在として知られています。しかし、公式な神話(『古事記』や『日本書紀』)には明確に登場せず、後世の信仰や解釈の中で注目されるようになった神です。
1.瀬織津姫の特徴
禊の神・祓いの神
『大祓詞(おおはらえのことば)』に登場し、人々の罪や穢れを川や海へ流し去る神とされています。そのため、水に関係する神社や信仰と結びつきが深い神様です。
2.天照大神との関係
一部の神道系の説では、瀬織津姫を天照大神の荒魂(あらみたま)とする説もあります。これは、瀬織津姫が公の神話から隠された(封印された)女神であるという解釈と関連しています。
弁才天・水の神との同一視
瀬織津姫は、仏教の弁才天や、龍神信仰と結びつくことが多く、水辺の神社や滝、川のほとりで信仰されています。
封印された女神説
瀬織津姫は、公式な神話には登場しないものの、陰陽道や神道系の秘伝で語られることがあり、「封印された神」「隠された神」としての側面が強調されることがあります。
2.関係する神々のまとめ
ざっくりまとめるとこんな感じ(まだまだ出てくるかも)

3.弁財天・市杵島姫命
弁財天(べんざいてん)は、日本では特に音楽・知恵・芸術・水の神として広く信仰されています。元々はインドのサラスヴァティ(Saraswati)という女神で、ヒンドゥー教においては、知恵や音楽、芸術の神として崇拝されていました。仏教が日本に伝来する際、サラスワティが弁財天として取り入れられ、日本独自の信仰が形成されました。
弁財天は、特に財運・商売繁盛の神としても人気があり、特に商業界では重宝されています。また、水神としての側面もあり、海や川、湖の周りに祀られることが多いです。
市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)は、『古事記』・『日本書紀』において、天照大神がスサノオと誓約(うけい)を交わした際に生まれた「宗像三女神」という三柱の海の女神の一柱で、「海・航海を守る神」として登場しました。
市杵島姫命は、平安時代以降、弁財天と習合しました。瀬織津姫も水神としての性格から弁財天と結びつけられたことがあります。このため、「弁財天=市杵島姫命」と「弁財天=瀬織津姫」がそれぞれ成立し、両者が重ねられることがあります。
また、瀬織津姫も市杵島姫命も水に関係する神であり、水の流れによる浄化や海上安全の神格を持つことから、似た性質を持つと捉えられることがあります。
いずれも神話の中で詳細が不明な部分が多い神様です。
4.弁財天と蛇神・宇賀神
蛇神(へびがみ)は、古代から多くの文化で重要な神格を持っています。生命力・再生、繁栄、そして守護の象徴として、各地の神話や信仰で重要な役割を果たしてきました。神道やヒンドゥー教、エジプト神話など、世界各地で蛇神は広く信仰されています。例えば、インドのナーガ神、エジプトのウラエウス(蛇の冠)、日本の宇賀神(蛇の神格)などが有名です。
なお、インド神話に登場する女神デヴィ・ダヌ(Devi Danu)は、ヒンドゥー教のナーガの母であるとされる神で、蛇の神々を生み出したとされています。ナーガ(蛇の神々)は、特に水や豊穣を司る神々として知られており、デヴィダヌはその母であるため、蛇神との強い関係があります。デヴィダヌ自身は蛇の形態を取ることはなく、彼女の子孫であるナーガ神々が蛇の姿で描かれることが多いです。
宇賀神(うがじん)は、稲荷信仰における重要な神であり、主に商業繁盛や豊穣を司る神として信仰されています。特に、稲荷神社に祀られ、稲荷大明神の使者としても広く知られています。また、宇賀神は蛇の頭を持つ神として描かれ、蛇神としての側面も強調されています。
弁財天と宇賀神は、商売繁盛、財運、豊穣などを司る神として習合し、弁財天は財運や商業繁盛を代表する神として広まりました。特に蛇の象徴や商業の守護神としての側面で重なりがあります。
5.サラスワティー、弁財天、瀬織津姫の共通点
サラスワティー、弁財天、瀬織津姫の三柱の女神にはいくつかの共通点があります。
水との関係
まず、水との関係が最も顕著な共通点です。瀬織津姫は禊(みそぎ)の神であり、人々の罪や穢れを水で祓い清める役割を持っています。川や滝の神格化とも考えられています。弁財天も本来は水の神として信仰されており、琵琶湖の竹生島や江の島などの水辺に祀られることが多いです。サラスワティの名前の由来は「流れるもの(saras)」であり、川や水に宿る神とされています。インドの神話では、実在したとされる聖なる川「サラスワティ川」の女神でもあります*。
水以外にも「流れ」と関係する
また、水の流れだけでなく、音楽や知恵の流れとも関係しています。瀬織津姫は流れを司る神であり、人々の罪や穢れを水の流れに乗せて運びます。弁財天は音楽(琵琶)を司る神でもあり、音の流れと関係が深いです。サラスワティはヴィーナ(インドの弦楽器)を持ち、言葉や知識、音楽の神であり、知恵が流れることを象徴しています。
<おまけ>
サラスワティ川(Saraswati River)は、古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』に登場する神聖な川で、ヒンドゥー教ではガンジス川(ガンガー)、ヤムナー川とともに「三大聖河」として信仰されていました。インド北西部を流れていたと考えられていますが、現在ではその流路は確認されておらず、「消えた川」として謎に包まれています。一部の研究者は、サラスワティ川が消えたことでインダス文明が衰退した可能性を指摘しています。
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