茨城県 大甕神社(おおみか神社)と織物の神様の話
- ayamis2901
- 2 日前
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「大甕神社(おおみかじんじゃ)」は、茨城県日立市に鎮座する古社で、この神社は、古代からの歴史を持ち、地域の信仰の中心として親しまれてきました。
ご由緒
『日本書紀』によれば、鹿島・香取の二神が、服はぬ国津神・草木石類にいたるまで平定するも、唯一、天津甕星(あまつみかぼし)、別名天香香背男命(あめのかがせおのみこと)と称する星神を征服することができずにいたところ、二神に替わって大甕に赴き地主神の霊力を宿魂石に封じたのが倭文神武葉槌命であったと伝えられ、香香背男と倭文の両方が祀られています。
天香香背男命は、他の神々が服従する中、唯一抵抗した神として知られ、大甕神社の社伝によれば、常陸国の大甕山に居を構え、東国を支配していたとされます。
(この大甕神社の位置が関東平野の端っこで、これより先が陸奥の山となっている地形から、東北の人たちにとっては大和政権からこの土地を守ることがとても重要だったそうです。)

香々背男は地主神と記載されており、その上に大きな磐座(宿魂石)がありました。
宿魂石はかなり大きな岩で、鎖をつかみながら登っていきます。岩の頂上には、香々背男の霊力を宿魂石に封じた倭文神武葉槌命がまつられています。
織物の神様「倭文」について
倭文神武葉槌命は織物の神様で、大甕神社は、倭文神武葉槌命が女性であったと考える立場を取っているそうです。
昔の衣服は、麻を使っていたこともあり、着飾るだけでなく何か不思議な魔力を持つものと考えられていました。
人を魅了するような美しい織物をまとった女性・倭文と、地主神の香々背男が結ばれた、というストーリーです。すてき。
なお、この倭文の織物をめぐる旅は「倭文(しづり)」という映画にもなっています。
映画「倭文ー旅するカジの木」https://shizuri-movie.com/
映画によれば、倭文という織物は、その白さから光の象徴とされ、邪悪なものを祓って身体を護る神聖な力を持っていました。
原料と考えられた「カジの木」の織物の伝承をたどり、遠くインドネシアのスラウェシまで旅をします。
これまで見てきたように東南アジアは日本の古代の風習がまだ強く残っている地域なので、いろいろ勉強になる映画でした。
映画の中でも出てきましたが、興味深いことに、縄文時代まで歴史を持つと言われる諏訪神社の神紋も梶の木だそうです。
織物の神社 三重県 機殿神社
伊勢神宮の遷宮にも、織物の祭祀があります。
「機殿神社」にて奉織始祭を執り行い、清く美しく織り上がるようにお祈りをささげ、織り上がってから鎮謝のお祭りを行います。

機殿神社には二社あって、一つは下機殿と呼び、東黒部地内大垣内の神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ)で『和妙』(絹・にぎたえ)を奉織、一つは井口中の上機殿という神麻績機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)で『荒妙』(麻・あらたえ)を奉織する皇大神宮の所管社です。
伝えるところによると、早くから神服部氏(かんはっとりうじ)神麻績氏(かんおみうじ)が居て、和妙、荒妙の神御衣(かんみそ)を奉織していたといわれています。
ところで「麻績氏」は、名前のとおり麻の加工や織布を行っていた人たちですが、諏訪の位置する長野県にも同じように麻績氏や麻績村が存在しています。
麻績氏が本州を移動し、山を越えてはるばる長野まで移動していったのか、それとも偶然の一致なのか、ロマンを感じるところです。(諏訪神社についてはまた書きます。)
なお、機殿神社は創立・祭神ともに不明とされています。どういうことだろう・・気になる。
参考:松阪市観光協会
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